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表示名称成分詳細

カーボンブラック

成分番号(JP number): 550964

INCI
CARBON BLACK
定義(Description)
本品は、顔料であり、炭化水素の不完全燃焼により得られる単体炭素である。
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
炭黑
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): /, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): /, 備考: 按照《化妆品安全技术规范》要求使用
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
CAS No.
1333-86-4
EC No.
215-609-9
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

IV/126, Other:Purity > 97 %, with the following impurity profile: Ash content ≤ 0,15 %, total sulphur ≤ 0,65 %, total PAH ≤ 500 ppb and benzo(a)pyrene ≤ 5 ppb, dibenz(a,h)anthracene ≤ 5 ppb, total As ≤ 3 ppm, total Pb ≤ 10 ppm, total Hg ≤ 1 ppm.

原料情報

カーボンブラック / CARBON BLACK

カーボンブラックとは

カーボンブラックは天然ガスや液状炭化水素を不完全燃焼または熱分解して得られる黒色の炭素の微粉末です。

一次粒子径は10- 100 nm程度で、カーボンブラックはこれらが多数集合し、これ以上分離の出来ない最小単位で、不規則且つ複雑な形の凝集体(アグリゲート)を形成しています。

さらに凝集体は比較的容易に集合し、凝集塊(アグロメレート)を形成しています。また、カーボンブラックは黒鉛と同様のグラフェン面をもっており、化学的には 97%以上の炭素 原子と残りの 3%程度の水素・酸素などから構成されています。

黒く見えるのは可視光領域の電磁波に対する吸光度が高いためです。カーボンブラックは化粧品には黒色の着色剤として用いられています。

化粧品原料としてのはたらき

着色剤は主にメイクアップ化粧品の原料として使われています。

着色剤は水や油に溶けにくく粒径が大きいため肌に吸収されにくい「顔料」と水や油に溶けやすく中には角層に染着するものもある「染料」に分けられますが、カーボンブラックは顔料にあたります。

ただし、他の一般的な顔料と比べるとカーボンブラックは粒径が小さいため、カーボンブラックが黒く見えるのは可視光領域の電磁波に対する吸光度が高いためで、肌への吸着は強いとされています。

また、顔料はさらに以下に上げる4つに分類でき、カーボンブラックは着色顔料に該当します(2)。

  • 着色顔料:酸化鉄(ベンガラ・黄酸化鉄・黒酸化鉄)・群青など

安全性

カーボンブラックは『医薬品添加物規格2018』・『医薬部外品原料規格2021』に記載されています。

  • 『医薬品添加物規格2018』(3)
  • 『医薬部外品原料規格2021』(4)

また、安全性については皮膚刺激性や眼刺激性についてはあまり心配がありませんが、発がん性については以下のような記述があります。

ヒトでは主に英国、ドイツ、及び米国でのコホート研究、コホート内症例対照研究から、本物質への職業ばく露と肺がん死亡の過剰リスクとの関連性を示唆する報告もあったが、

喫煙の影響の可能性を排除できない、或いはアスベスト、タルクへの共ばく露の影響を補正した結果では、肺がん死亡の過剰リスクの有意差が消失したなど、

両者の相関を支持する結果は得られなかった (IARC 93 (2010)、ACGIH (7th, 2011))。その他、膀胱、腎臓、胃、及び食道の発がんに対して、過剰リスクを示唆する報告があるが、

いずれも本物質がヒトで発がん性を支持する証拠としては不十分であると記述されている (IARC 93 (2010))。

一方、実験動物では Printex 90 (主粒子径: 14 nm、比表面積: 227±18.8 m2/g、空気力学的質量中央値 (MMAD) : 0.64μm) を雌マウスに13.5ヶ月間、及び雌ラットに43週間、又は86週間、

又は雌ラットに24ヶ月間、吸入ばく露した各試験で、肺胞/細気管支腺腫、腺がん、扁平上皮がんなど肺の良性/悪性腫瘍の頻度増加が認められた (IARC 93 (2010)、SIDS (2007))。

また、 Elftex 12 (総粒子の67%が大型粒子 (粒子径: 2.0~2.4 μm; MMAD: 2.0 μm)、33%が小型粒子 (粒子径: 0.02~0.1μm)) を雌雄ラットに2年間吸入ばく露した試験では、

雄には肺腫瘍の頻度の増加は示されなかったが、雌に肺の腺腫及び腺がんの発生頻度の増加が用量依存的に認められた (IARC 93 (2010)、SIDS (2007))。

この他、これら2種の本物質製品を雌ラットに気管内投与した試験でも、肺腫瘍の増加が確認されている (IARC 93 (2010)、SIDS (2007))(5)。

職場の安全サイト 職場安全シート

職場のあんぜんサイト:化学物質:カーボンブラック (mhlw.go.jp)

ラットについては発がん性が確認されているものの、人間に関しては認められていません。

また、10年以上の使用実績もあり、現時点において人間にとってカーボンブラックは安全な着色剤であると考えられます。

配合されている化粧品

カーボンブラックは以下の化粧品に添加されています。

  • アイライナー
  • マスカラ
  • 眉墨など

参考文献

(2)小西さやか『日本化粧品検定 1級対策テキスト コスメの教科書 第2版』(主婦の友社)

(3)厚生労働省『医薬品添加物規格 2018』Microsoft Word - 医薬品添加物規格(20180608)【マスターデータ】 (mhlw.go.jp)

(4)厚生労働省『医薬部外品原料規格 2021』000240227.pdf (pmda.go.jp)

(5)職場の安全サイト 職場安全シート

職場のあんぜんサイト:化学物質:カーボンブラック (mhlw.go.jp)

カーボンブラックの配合目的

  • 黒色の着色剤

カーボンブラックの安全性情報

カーボンブラックは薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載されています(1)。

また、外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載されています(2)。

カーボンブラック協会の安全性データ(3)には、「カーボンブラックに皮膚感作性は報告されていない。長期にわたる接触では皮膚の乾燥、刺激をともなうことがある。」と記載されています。

カーボンブラックの発がん性分類は、動物実験による毒性学調査・ヒトの疫学研究の結果をどのように評価す るかで異なります。

国際癌研究機関(IARC, International Agency for Research on Cancer) では、雌ラットによる複数の発がん性研究結果で陽性が現れたため、発がん性分類を「区分2B」とされています。(“ヒトに対して発がん性であるかもしれない”という区分、コーヒー等が該当)。

一方、EU、国連GHSのルールでは、ヒトでの疫学調査結果が陰性であれば、動物実験で、特に過剰投与下で陽性が現れても、そのメカニズムがヒトへの作用と関連が明らかでない限り、発がん性分類は要しないとしているため、EU、国連GHSでは「区分外(not classfiied)」分類になっています(3)。

参考文献

(1)医薬品添加物規格2018

(2)医薬部外品原料規格2021

(3)カーボンブラック協会(2013)「カーボンブラックのナノマテリアルとしての安全性」

日本語論文

酸化チタンナノ粒子による急性精巣機能障害の誘発機構

三浦 伸彦 , 田中 廣輝 , 北條 理恵子 , 大谷 勝己 , 吉岡 弘毅 日本毒性学会学術年会 45.1(0), P-106, 2018 J-STAGE

英語論文

Use of zein microspheres to anchor carbon black and hemoglobin in electrochemical biosensors to detect hydrogen peroxide in cosmeticproducts, food and biological fluids.

Dos Santos Pereira T, et al. Talanta. 2019.PMID: 30609600

Opinion of the Scientific Committee on Consumer safety (SCCS) - Second revision of the opinion on carbon black, nano-form, in cosmetic products.

Scientific Committee On Consumer Safety, et al. Regul Toxicol Pharmacol. 2016.PMID: 26946407 No abstract available.

Inadvertent corneal pigmentation following cosmeticblepharopigmentation.

Goldberg H, et al. Am J Ophthalmol Case Rep. 2018. PMID: 30211341 Free PMC article.

[Cosmetic interlamellar keratoplasty].

Dushin NV, et al. Vestn Oftalmol. 1997.PMID: 9508740 Russian.