表示名称成分詳細
オレイン酸グリセリル
成分番号(JP number): 550903
- INCI
- GLYCERYL OLEATE
- 定義(Description)
- 本品は、オレイン酸(*)とグリセリン(*)のモノエステルであり、次の化学式で表される。Oleic acid, monoester with glycerol
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 甘油油酸酯
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 8, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 6.5
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 글리세릴올리에이트
- CAS No.
- 25496-72-4 / 111-03-5
- EC No.
- 247-038-6
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
オレイン酸グリセリル / GLYCERYL OLEATE
オレイン酸グリセリルとは
[化粧品成分表示名称]
・オレイン酸グリセリル
[医薬部外品表示名称]
・親油型モノオレイン酸グリセリル
オレイン酸グリセリル(Glyceryl Oleate)は、炭素数18の一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸と、3個のヒドロキシ基を持つグリセリンのモノエステルです。多価アルコール型の非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)に分類されます。
医薬部外品表示名称としては「親油型モノオレイン酸グリセリル」という名前が使われています。
界面活性剤としてのオレイン酸グリセリル
親水基として多価アルコールのグリセリンを含んでいるオレイン酸グリセリルは、非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)に分類されます。
ノニオン界面活性剤は、水中でイオン化しない親水基を持った界面活性剤です。酸性でもアルカリ性でも使用することができ、水の硬度の影響を受けにくいなど化学的に安定な性質があるため、さまざまな界面活性剤と併用することができます。乳化作用・分散作用に優れており、幅広い分野で使用されています。
多価アルコール型のノニオン界面活性剤は、一般に天然由来で毒性も低いことから、化粧品・身体洗浄料だけでなく、食品や医療品の乳化・可溶化剤としても用いられています。曇天現象を起こさないため、幅広い温度領域で長期保存安定性を確保しやすいという特徴があります(1)。
オレイン酸グリセリルなどのグリセリン脂肪酸エステルは、水中ではミセルや液晶を形成し、その相挙動はエタノールなどの溶媒を添加すると劇的に変化するという特徴があります(1)。
多くの場合、オレイン酸グリセリルは数種以上の脂肪酸エステルの混合物として市販されています。融点や結晶系は脂肪酸のアルキル鎖長や不飽和度によって影響されるため、配合時には注意が必要です。
ノニオン界面活性剤に分類されるオレイン酸グリセリルは、主に乳化剤として使用されます。乳化剤とは、水と油のように、本来は互いに混じり合わない2種類以上の物質の境界面で働き、どちらか一方が細粒となり、他方の中に均一に分散した「エマルション(乳化物)」を生成する作用がある成分のことです。
エマルションの基本構造には、水の中に油滴が分散したO/W型(Oil in Water type)と、油の中に水滴が分散したW/O型(Water in Oil type)があります。親油性の高いオレイン酸グリセリルを乳化剤と使用した場合、多くの条件下でW/O型のエマルションが生成されます。
オレイン酸グリセリルの化粧品への配合
オレイン酸グリセリルには、W/O型乳化剤、香料、エモリエント剤の作用が知られており(2)、主にスキンケア製品やメイクアップ化粧品、シャンプーやボディソープ・洗顔料などの洗浄料に使用されています。
オレイン酸は、オリーブ油やベニバナ油、ヒマワリ油などに多く含まれている不飽和脂肪酸であり、グリセリンは大豆をはじめとする油脂を加水分解して得られる成分です。オレイン酸グリセリルは、多くの場合これらの天然由来の成分から調製されるため、自然派化粧品などにも多く使用されています。
Cosmetic Ingredient Reviewでは、さまざまな安全試験データから、安全性評価論文内で説明されている現在の使用方法と濃度内で処方された場合のオレイン酸グリセリルの安全性が結論づけられています(2)。
アメリカ食品医薬品局(FDA)が実施する化粧品自主登録プログラム(VCRP)によると、2015年時点で、オレイン酸グリセリルを配合している製品の登録数は合計663で、そのうちリーブオン製品は231製品、リンスオフ製品は411製品でした(2)。
製品への含有量について2014年にパーソナルケア製品評議会が実施した調査によると、オレイン酸グリセリルはリーブオン製品で0.0001%から3%、リンスオフ製品で0.1%から2.7%の配合率で使用されていました(2)。
参考文献
- 野々村美宗 (2015)「ノニオン界面活性剤」 化粧品医薬部外品医薬品のための界面化学, 52-56
- Cosmetic Ingredient Review (2020)「Safety Assessment of Monoglyceryl Monoesters as Used in Cosmetics」 International Journal of Toxicology 2020, Vol. 39 (Supplement 3) 93S-126S
オレイン酸グリセリルの配合目的
- 乳化剤
- 香料
- エモリエント剤
オレイン酸グリセリルの安全性情報
皮膚一次刺激性:非刺激-軽度の皮膚刺激を引き起こす可能性あり
皮膚累積刺激性:ほとんどなし
Cosmetic Ingredient Review(1986)「Final Report on the Safety Assessment of Glyceryl Oleate」Journal of the American College of Toxicology(5)(5),391-413.
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS706.pdf
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/pr174.pdf
日本語論文
なし
英語論文
[No authors listed] Int J Toxicol. 2004. PMID: 15513825 Review.
Contact Sensitization to Emulsifying Agents: An Underrated Issue?
Corazza M, et al. Dermatitis. 2016. PMID: 27649350
Sintov AC, et al. J Control Release. 2004. PMID: 14980766