表示名称成分詳細
オリザノール
成分番号(JP number): 550857
- INCI
- ORYZANOL
- 定義(Description)
- 本品は、フェルラ酸とテルペンアルコールのエステルであり、次の化学式で表される。gamma-Oryzanol; 9,19-Cyclo-9beta-lanost-24-en-3beta-ol 4-hydroxy-3-methoxycinamate
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 【化粧品に配合可能な医薬品の成分について】*γ-オリザノールについて記載。<100g中の最大配合量(g)について> 粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの: (○)g,<100g中の最大配合量(g)について> 粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの: 1.25g,粘膜に使用されることがある化粧品: 1.25g, 注1) 旧基準に収載されていた成分。注2) ( )内は、旧基準において示していた成分の分量を参考に付したもの。注3) 一部、用途の違いによりその整合性を図ったこと。
- 中文inci(CN/中国名称)
- 谷维素
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 5
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 오리자놀
- CAS No.
- 11042-64-1 / 12738-23-7
- EC No.
- -
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
オリザノール / ORYZANOL
オリザノールとは
γ-オリザノールについて
γ-オリザノールは、1954年に米ぬか油から発見されたポリフェノールの一種で、コメ胚芽や米ぬかを搾ってつくる米油に含まれています。
無味、無臭の淡黄色の粉末であり、熱安定性が高いことから、優れた抗酸化力を発揮するといわれています。
γ-オリザノールは植物ステロールの仲間で、血行を良くしてコレステロールを下げたり、脳の機能の劣化防止したりするなどの効果があります。
善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らす効果もあるので、脂質異常症の予防にも用いられます。
γ-オリザノールは、古くから更年期障害の症状の緩和、不安、緊張、抑うつや高脂血症への効果があることから医薬品として使用されてきた歴史があります。
また酸化防止剤として効果も持っており、食品添加物にも認可されています(1)。
最近では、抗炎症作用、抗アレルギー作用、皮膚の乾燥や肌荒れを防ぐ作用、筋肉疲労防止作用などが報告されており、化粧品やサプリメントなど幅広く利用されています。
γ-オリザノールが含まれる米油は、植物性油として食品の加工に用いられたりしています。
私たちの身近なところで言うと、せんべいやポテトチップス、かりんとうなどの揚菓子や、即席麺などは、米油で揚げられており、香り高く、かつ品質を長く保持できるようになっています(1)。
γ-オリザノールの効果
γ-オリザノールには、紫外線の暴露による皮膚刺激からの顔の痒み、炎症や、ニキビの悪化といった症状に深く関わっている過酸化脂質の生成を抑制する効果が報告されています(2)。
1979年に名古屋大学医学部皮膚科教室によって実施されたリノール酸に対するオリザノールの影響試験では、リノール酸にγ-オリザノール製剤を添加し、紫外線に曝露して、紫外線暴露時間による過酸化脂質量が測定されました。
結果、オリザノールが添加されている場合において、明らかに過酸化脂質の生成量が抑制されることが確認されました(2)。
またγ-オリザノールには、皮脂分泌の減退による皮膚乾燥に対して皮膚の分泌を促進する効果があることが報告されています(3)。
1979年に名古屋大学医学部皮膚科学教室および名古屋大学医学部附属病院院分院皮膚科によって実施されたオリザノール塗布による皮脂分泌への影響試験では、0.1%、1.0%、2.0%のγ-オリザノール配合軟膏をそれぞれ健常皮膚を有する被検者に塗布し、塗布前と塗布後の皮脂量が比較された。
こちらの結果、0.1%1と比較して1.0%の場合に、大きな有意差が認められました。ちなみに1.0%と2.0%には有意差は認められなかったそうです(3)。
さらにγ-オリザノールには、UVB(中波長紫外線)を吸収する作用があることが報告されています(4)。
2003年にイタリアのローマ・ラ・サピエンツァ大学によって報告されたγ-オリザノールの紫外線吸収波長領域データによると、290および315nmに吸収極大をもつことが明らかにされています(4)。
加えてγ-オリザノールには、寒冷負荷時に皮膚に塗布することで、微小循環血流増加による皮膚温上昇の効果があることも確認されています(5)。
参考文献
(1) https://himitsu.wakasa.jp/contents/g-oryzanol/ 「わかさの秘密 web」
(2) 小林 美恵(1979)「皮脂腺に対するフェルラ酸エステル混合物の局所作用」皮膚(21)(1),18-34.
(3) 小林 敏夫, 他(1979)「γ-オリザノール配合軟膏の臨床効果の検討」皮膚(21)(2),123-134.
(4) R Bucci, et al(2003)「Comparison of three spectrophotometric methods for the determination of γ-oryzanol in rice bran oil」Analytical and Bioanalytical Chemistry(375),1254-1259.
(5) 神村 瑞夫, 他(1964)「γ-Oryzanolの局所塗布が放射性燐静脈内投与による皮膚表面放射能におよぼす影響」臨床皮膚泌尿器科(17)(4),373-374.
オリザノールの配合目的
- 過酸化脂質抑制による抗酸化作用
- 皮脂腺活性による皮脂分泌促進作用
- UVB吸収による紫外線防御作用
- 寒冷負荷に対する皮膚温低下抑制による温感作用
オリザノールの安全性情報
(1)より、基剤との間に有意差なしと報告されているため、一般に健常な皮膚を有する場合において皮膚刺激性は非刺激-わずかな皮膚刺激を引き起こす可能性があると考えられます。
(1)より、基剤との間に有意差なしと報告されているため、一般に皮膚炎を有する場合において皮膚刺激性は非刺激-わずかな皮膚刺激を引き起こす可能性があると考えられます。
皮膚炎を有する皮膚は、健常な皮膚を対象とした場合よりも皮膚刺激率が高い傾向を示していますが、これは被検者の皮膚の刺激に対する閾値の相違によるものと考えられており、また1%γ-オリザノール軟膏と軟膏基剤のみの間には刺激率の差がほとんどないことから、1%γ-オリザノールそのものには皮膚刺激性はほとんどないと推測されます。
詳細な試験データは不明ですが、γ-オリザノールは眼粘膜刺激性がきわめて低いことが判明していることから(2)、一般に化粧品および医薬部外品配合濃度において眼刺激性はほとんどないと考えられます。
詳細な試験データは不明ですが、医薬部外品原料規格2021に収載されており、古くからの使用実績の中で重大な皮膚感作の報告がみあたらないこと、臨床試験によって皮膚感作性が観察されていないことから(3)、一般に皮膚感作性はほとんどないと考えられます。
(1)より、光毒性なしと報告されており、他にも同様の試験データが報告されていることから(4)、一般に光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。
参考文献
- 小林 敏夫, 他(1979)「γ-オリザノール配合軟膏の臨床効果の検討」皮膚(21)(2),123-134.
- 藤村 一, 他(1979)「γ-オリザノール配合軟膏の安全性に関する研究(第2報) -皮膚および眼粘膜に対する一次刺激性試験-」薬理と治療(7)(5),1313-1320.
- 江田 昭英, 他(1979)「γ-オリザノール配合軟膏の安全性に関する研究(第3報) -抗原性試験-」薬理と治療(7)(5),1321-1327.
- 江田 昭英, 他(1979)「γ-オリザノール配合軟膏の安全性に関する研究(第4報) -光毒性および光アレルギー性試験- 」薬理と治療(7)(5),1329-1333.
日本語論文
長島 正治 , 塩原 哲夫 , 永島 敬士 , 亀山 省司 , 林 達男 皮膚 29(6), 989-994, 1987 J-STAGE
米加工副産物からのリン・タンパク質同時回収 (小特集 リンのリサイクル)
渡辺 昌規 農業および園芸 89(5), 545-550, 2014-05 日本農学文献記事索引
γ‐オリザノール1%配合クリームFC‐9201の臨床試験成績:FC-9201臨床研究班
HAYAKAWA Ritsuko 皮膚 35(1), 131-154, 1993 J-STAGE
γ-オリザノール配合クリームの臨床効果の検討:皮脂分泌促進作用の検討および比較臨床試験結果
ZK-γ-551研究班皮膚 22(3), 492-504, 1980J-STAGE 医中誌Web
1%γ-オリザノール配合軟膏の臨床効果の検討:オープンコントロールスタディテスト集計結果
IKD-504研究班 皮膚 21(4), 463-470, 1979 J-STAGE 医中誌Web
γ-オリザノール配合軟膏の臨床効果の検討:皮脂分泌促進作用, パッチテストおよび基剤との比較臨床試験結果
小林 敏夫 , 早川 律子 皮膚 21(2), 123-134, 1979 J-STAGE 医中誌Web
小林 美恵 [他] , 早川 律子 , 上田 宏 , 小林 敏夫 西日本皮膚科 35(5), 566-570, 1973 J-STAGE 医中誌Web
神村 瑞夫 [他] , 森田 修吾 ビタミン 46(3), 117-119, 1972 J-STAGE 医中誌Web
中村 敏郎 [他] 臨床皮膚泌尿器科 13(1), 92-95, 1959-01
英語論文
Prevention of UV-induced skincancer in mice by gamma oryzanol-loaded nanoethosomes.
Zeinali M, et al. Life Sci. 2021.PMID: 34171381
Heydari S, et al. Drug Dev Ind Pharm. 2017.PMID: 28277843
Manosroi A, et al. J Nanosci Nanotechnol. 2011. PMID: 21449379
Yasukawa K, et al. Biol Pharm Bull. 1998.PMID: 9821812