表示名称成分詳細
オクチルドデカノール
成分番号(JP number): 550812
- INCI
- OCTYLDODECANOL
- 定義(Description)
- 本品は、次の化学式で表される脂肪族アルコールである。2-Octyldodecan-1-ol
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 辛基十二醇
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 79.91
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 옥틸도데칸올
- CAS No.
- 5333-42-6
- EC No.
- 226-242-9
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
原料情報
オクチルドデカノール / OCTYLDODECANOL
オクチルドデカノールとは
オクチルドデカノールは、高級アルコールに分類され、構造としては炭素数20個からなる、鎖構造を持つ一価アルコールです。
熱や酸化安定性に優れており、エマルジョン安定補助剤、エモリエント作用を目的に使用される成分です(1)。
オクチルドデカノールは化粧品成分表示名称であり、医薬品成分表示名称としては2-オクチルドデカノールと決められています。
配合されている製品としては、口紅およびリップケア化粧品、乳化系スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、洗浄製品、ヘアケア製品等です。
エマルジョン安定補助剤
オクチルドデカノールは油性成分として、流動パラフィンに比べ油性性は低く、遅延性は高い、皮膚への感触も良い特徴を持つことから、クリーム、乳化剤、ヘアクリームとしてベース成分に配合されています。
ベース成分とは製品の70~100%を占める骨格となる成分であり、水性成分、油性成分、界面活性剤、顔料・粉体を配合したものです。石鹸のほとんどが、このベース成分で出来ています。
オクチルドデカノールは油性成分としてベース成分に分類されるだけでなく、構造上の特徴からエマルジョン安定補助剤としても使用されます。
構造上の特徴とは、炭素を20個持っていることで、炭素が8個以上の高級アルコールに分類され、炭素数の多さから親油性は高くなっています。とはいえ、1個のヒドロキシ基(-OH)をもつ一価アルコールとしての親水性も持っています。
親油性と親水性の両方をもつ特性を活かして、エマルジョン生成時に水溶性成分と油性成分の親和性を高めるために、エマルジョン安定補助剤として使用されることもあります。
エモリエント作用
エモリエント作用においては、遅延性を活かして、皮膚表面へ広がることで角質層を閉塞させます。
角質層を閉塞させることで、角質層からの水分蒸発作用を抑制し、角質層の潤いを維持することで肌の柔軟性、柔らかさを与えてくれます。
オクチルドデカノールは単体でエモリエント剤としての使用だけでなく、他の油性成分と一緒に混合することで油性成分の安定性を高め、遅延性を高めるために配合されます。
安全性評価として10年以上の使用実績があり、皮膚刺激においては通常使用に問題ないと言う評価になっています(2)。
皮膚刺激の実験において、一部皮膚への刺激があるという報告はあったようですが、どれも結論として皮膚刺激に問題がなかったという見解になっています。一般的に製剤として使用する量であれば問題ないと思われます。
眼刺激に関しては、実験中に軽度の痛みは発現したものの、未希釈の使用であり、結果として問題のない範囲という結果になっています。
光毒性はなく、安全に使用できる成分となっています。
参考文献
(1)化粧品成分用語事典2012. (2012). 日本: 中央書院.
(2)Cosmetic Ingredient Review(1985)「Final Report on the Safety Assessment of Stearyl Alcohol,Oleyl Alcohol,and Octyl Dodecanol」International Journal of Toxicology(4)(5),1-29.
オクチルドデカノールの配合目的
- 親水性、親油性の構造を有しており、水性成分と油性成分の親和性を高めるためのエマルジョン安定補助作用
- 角質層からの水分蒸発抑制作用(エモリエント作用)
- 他の油性成分と一緒に混合することで、混合油性成分の安定性、遅延性の向上作用
オクチルドデカノールの安全性情報
日本語論文
共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます(1)。
眼刺激性はほとんどなし-最小限の眼刺激性を誘発する可能性があると考えられます(1)。
参考文献
(1)Cosmetic Ingredient Review(1985)「Final Report on the Safety Assessment of Stearyl Alcohol,Oleyl Alcohol,and Octyl Dodecanol」International Journal of Toxicology(4)(5),1-29.
英語論文
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Development of topical hydrogels containing genistein-loaded nanoemulsions.
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Investigating transdermal delivery of vitamin D3.
Alsaqr A, et al. AAPS PharmSciTech. 2015. PMID: 25609377 Free PMC article.
Zorzi GK, et al. AAPS PharmSciTech. 2016. PMID: 26361953
Final report on the safety assessment of Octyidodecyl Stearoyl Stearate.
Lanigan RS. Int J Toxicol. 2001. PMID: 11766132 Review.
Fiume MZ, et al. Int J Toxicol. 2003. PMID: 14555419
Free-choice-profile descriptive analysis of sticks with conditioning agents.
Gámbaro A, et al. J Cosmet Sci. 2006. PMID: 17256075
Parente ME, et al. J Cosmet Sci. 2005. PMID: 16116522
Alves T, et al. Pharmaceutics. 2021. PMID: 33920061 Free PMC article.
Development of topical nanoemulsions containing the isoflavone genistein.
Silva AP, et al. Pharmazie. 2009. PMID: 19216228
Development of topical nanoemulsions containing quercetin and 3-O-methylquercetin.
Fasolo D, et al. Pharmazie. 2009. PMID: 20099516
Effect of topical application of dexamethasone on Propionibacteria in the pilosebaceous duct.
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