表示名称成分詳細
ウマスフィンゴ脂質
成分番号(JP number): 550737
- INCI
- (NOTHING)
- 定義(Description)
- 本品は、ウマ Equus caballus の脊髄から得られるスフィンゴ脂質である。
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
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- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
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- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- CAS No.
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- EC No.
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- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
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原料情報
![ウマスフィンゴ脂質](https://images.prismic.io/beaker-media/ZwhyoIF3NbkBXOmq_%E3%82%A6%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%82%99%E8%84%82%E8%B3%AA.png?auto=format,compress)
ウマスフィンゴ脂質 / (NOTHING)
ウマスフィンゴ脂質とは
ウマスフィンゴ脂質は、ウマ Equus caballus の脊髄から得られるスフィンゴ脂質であると定義されています。INCIの名称はありません(1)。
動物の脳及び脊髄から得られる糖脂質は、成分番号 556578のセレブロシドという名称を持ち、INCI名 Cerebrosidesとされていて、ウマスフィンゴ脂質はセレブロシドとも呼ばれます(1)。
医薬部外品原料規格では、「ウマスフィンゴ脂質」英名:Equus Sphingolipidとして収載されています(2)。
医薬部外品原料規格は2021年に改訂されましたが、平成18年3月31日薬食発第0331030号医薬食品局長通知「医薬部外品原料規格2006について」により定められました。
このとき、平成3年5月14日薬発第535号薬務局長通知「医薬部外品原料規格について」、平成5年2月10日薬発第115号薬務局長通知同追補、平成6年3月15日薬発第243号薬務局長通知同追補2、平成10年3月24日医薬発第296号医薬安全局長通知同追補3、平成10年5月22日医薬発第476号医薬安全局長通知同追補4及び化粧品種別配合成分規格が廃止され、医薬部外品原料規格に統合されました。
ウマスフィンゴ脂質は、それまで化粧品種別配合成分規格に収載されていた物質ですが、医薬部外品原料規格に収載されました(3)。
医薬部外品原料規格では、「本品は,ウマ Equus caballus Linnaeus(Equidae)の脊髄より抽出,精製したスフィンゴ脂質で,主としてガラクトシルセラマイドを含む」と定義され、ヨウ素価 :30~50と規定されています。
ヨウ素価100以下であり、不乾性油に分類されます。
市販のウマスフィンゴ脂質には、ガラクトシルセラミド70%以上、スフィンゴミエリン20%、ホスファチジルセリンエタノールアミン20%以上、レシチン20%以上、コレステロール1%以上が含まれています(5)。
ガラクトシルセラミドは、天然のセラミドの前駆体です(5)。
働きと用途
ウマスフィンゴ脂質は、天然セラミドと呼ばれる物質のひとつです。
皮膚表面の層を角層といいますが、角層の細胞の間には細胞間脂質と呼ばれる脂質が存在します。角層細胞と角層の細胞間脂質は、レンガとモルタルに例えられる関係です。
健康な肌の角層では、角層細胞の間で、細胞間脂質が角層細胞どうしをつなぎとめる働きをします。
細胞間脂質は、セラミド、コレステロールなどを成分とする脂質の層と水分子の層が規則正しく何層も重なり合い、「ラメラ構造」と呼ばれる層状の構造をつくっています。
ラメラ構造は、疎水層と親水層を繰り返すミセル様の構造をしており、この構造が、脂質が水分を挟み込み、肌の水分を維持する機能を持っていると考えられています。
このバリア機能は、皮膚内に水分が過剰にあるときは蒸散でき、ある一定の水分を肌に保持する働きをしており、外的刺激から皮膚を防御するといった重要な役割を担っています。
細胞間脂質の構成は、セラミド、糖脂質、コレステロール、コレステロールエ ステル、遊離脂肪酸で構成されています(4)。
角層細胞間脂質のラメラ構造が形成されるためには、セラミド、脂肪酸、コレステロールなどの脂質成分の構成比が重要で、その比率の偏りが、ラメラ構造の性状を変化させ、肌のバリア機能を損ないます。
健康な肌では、細胞間脂質はセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸が1:1:1(重量比でセラミド50%、コレステロール25%、遊離脂肪酸10%~20%)の割合で存在するのが理想的です。
ウマスフィンゴ脂質は、細胞間脂質のセラミドを補い、表皮構造を改善します(7)(8)。
また、ラメラ構造の水分を適切に保持し、表皮構造が改善とともに、皮膚のバリア性を向上します。
このことで、ターンオーバーを性状にし、健康な皮膚に導きます。
アトピー性皮膚炎に対する改善効果も報告されています。
参考文献
(1) 日本化粧品工業連合会 ウマスフィンゴ脂質 平成13年3月6日付医薬審発第163号・医薬監麻発第220号厚生労働省医薬局審査管理課長並びに同監視指導・ 麻薬対策課長通知
(2) 医薬部外品原料規格 ウマスフィンゴ脂質
(3) 医薬部外品原料規格の改正に伴う医薬部外品等製造販売承認申請の取扱いについて(平成18年3月31日)(薬食審査発第0331033号)
(4) 皮膚角質細胞間脂質の構造と機能 芋 川 玄 爾 花王基礎科学研究所 油化学 第4巻 第10号 (1995)
(5) ホルスピュアセラミド 株式会社ホルス
(7) 浜中 すみ子, 他(1995)「アトピー性皮膚, 皮脂欠乏性皮膚などに対するセレブロシド含有クリーム外用の試み」皮膚(37)(5),619-625.
(8) 浜中 すみ子(1993)「皮膚の糖脂質」Cosmetology(1),72-79.
ウマスフィンゴ脂質の配合目的
バリア性
抱水性
ターンオーバー促進
ウマスフィンゴ脂質の安全性情報
(1)より、副作用なしと報告されているため、皮膚炎を有する場合において皮膚刺激性および皮膚感作はほとんどないと考えられます。
眼刺激性について
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。
(1)山口労災病院皮膚科の症例報告
日本語論文
なし
英語論文
Skin disease in donkeys (Equusasinus): a retrospective study from four veterinary schools.
White SD, et al. Vet Dermatol. 2019.PMID: 30828915
Greenwood S, et al. Vet Pathol. 2020.PMID: 32812517
White SD. Vet Clin North Am Equine Pract. 2013. PMID: 24267685