表示名称成分詳細
イソステアリン酸グリセリル
成分番号(JP number): 550655
- INCI
- GLYCERYL ISOSTEARATE
- 定義(Description)
- 本品は、イソステアリン酸(*)とグリセリン(*)のモノエステルであり、次の化学式で表される。Isooctadecanoic acid, monoester with glycerol
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 甘油异硬脂酸酯
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 8
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 글리세릴아이소스테아레이트
- CAS No.
- 66085-00-5 / 32057-14-0
- EC No.
- 266-124-4
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
イソステアリン酸グリセリル / GLYCERYL ISOSTEARATE
イソステアリン酸グリセリルとは
イソステアリン酸グリセリルは、界面活性剤の一種です。
化粧品に配合される場合は、イソステアリン酸グリセリルと表示されますが、医薬部外品に配合される場合はモノイソステアリン酸グリセリルと表示されます。
界面活性剤は、本来であれば混ざり合わない水と油を混ざり合わせる効果を持ちます。
その中でも、多価アルコールエステル型のグリセリン脂肪酸エステルに分類される分子量358.6の非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)です。
化粧品に配合される場合は、主に以下の用途で用いられます。
乳化
乳化とは、1つの液体にそれと溶けあわない別の液体を均一に分散させることを言います(3)。
イソステアリン酸グリセリルにはこの作用があり、W/O型乳化を引き起こします。
W/O型乳化とは、油を外部層(界面活性剤の外側)とし、中に水が微細粒子状に分散する形で行われる乳化です。
逆に、水を外部層(界面活性剤の外側)とし、中に油が微細粒子状に分散する形で行われる乳化をO/W型乳化と呼びます。
界面活性剤は分子中に親水基と親油基をもっているので両者のバランスが重要になります。親水基と親油基の強さを評価する手段として一般的にHLB値が用いられています。
HLB値は、0~20の値を取り、0に近いほど親油性、20に近いほど親水性が高くなります。界面活性剤が水中に分散するためには3以上、溶解するためには10以上が必要で、HLB値は理論的なものではありませんが、HLB値によってその界面活性剤の性質や用途もある程度決定されます(4)。
イソステアリン酸グリセリルのHLB値は4.0で、W/O乳化剤(親油性界面活性剤)です。
このような作用で、スキンケア化粧品や日焼け止め製品、クレンジング製品などに使用されます。
また、イソステアリン酸グリセリルは他のO/W乳化剤(親水性乳化剤)と組み合わせることでO/W型乳化安定剤として使用されます。
イソステアリン酸グリセリルは、医薬部外品原料規格2021に収載されており、一般的に安全性に問題がない成分と考えられています。
分散
粉体を水に入れた場合、それだけでは混ざり合わずに、表面に浮かんだままの状態になります。
この粉体を取り込み、水中に散らばらせる作用を分散と言います。
この作用により、顔料などを分散させる目的で日焼け止め製品、化粧下地などに利用されます。
参考文献
- https://cosmetic-ingredients.org/surfactant/イソステアリン酸グリセリルの成分効果と毒性/
- https://jp-surfactant.jp/surfactant/nature/index.html
- 田村 健夫, 他(1990)「乳化作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,270-273.
- 野々村 美宗(2015)「親水性・親油性バランス」化粧品 医薬部外品 医薬品のための界面化学,35-39.
イソステアリン酸グリセリルの配合目的
- 乳化
- 分散
イソステアリン酸グリセリルの安全性情報
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS706.pdf
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS344.pdf
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR320.pdf
日本語論文
田中 紅 , 稲葉 弥寿子 , 中川 真実子 [他] , 鈴木 加余子 , 松永 佳世子 Journal of environmental dermatology and cutaneous allergology = / the Japanese Society for Dermatoallergology and Contact Dermatitis 3(3), 163-169, 2009-07-31 医中誌Web 参考文献18件 被引用文献1件
英語論文
[No authors listed] Int J Toxicol. 2004.PMID: 15513825 Review.
Contact dermatitis from glyceryl di-isostearate.
Tanaka M, et al. Contact Dermatitis. 1993.PMID: 8365155 No abstract available.
Inui S, et al. Contact Dermatitis. 2009.PMID: 19338598 No abstract available.
Pennick G, et al. Int J Cosmet Sci. 2010.PMID: 20642769
Characterization of O/W Emulsions Prepared by PEG-Diisostearate Amphiphilic Random Copolymer.
Kaji M, et al. J Oleo Sci. 2017.PMID: 28924083 Free article.