表示名称成分詳細
イソステアリン酸PEG-60グリセリル
成分番号(JP number): 550648
- INCI
- PEG-60 GLYCERYL ISOSTEARATE
- 定義(Description)
- 本品は、イソステアリン酸グリセリル(*)のポリエチレングリコールエーテルであり、次の化学式で表される。n:平均60Poly(oxy-1,2-ethanediyl), .alpha.,.alpha.',.alpha.''-1,2,3-propanetriyltris-.omega.-hydroxy-, isooctadecanoate (60 mol EO average molar ratio)
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- PEG-60 甘油异硬脂酸酯
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 8, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 3.2
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 피이지-60글리세릴아이소스테아레이트
- CAS No.
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- EC No.
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- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
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原料情報
イソステアリン酸PEG-60グリセリル / PEG-60 GLYCERYL ISOSTEARATE
イソステアリン酸PEG-60グリセリルとは
イソステアリン酸PEG-60グリセリルは、界面活性剤の一種です。
化粧品に配合される場合は、イソステアリン酸PEG-60グリセリルと表示されますが、医薬部外品に配合される場合はイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルと表示されます。
界面活性剤は、本来であれば混ざり合わない水と油を混ざり合わせる効果を持ちます。
その中でも、酸化エチレン縮合型のポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステルに分類される非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)です。
イソステアリン酸PEG-60グリセリルは、イソステアリン酸グリセリルに酸化エチレンを約60モル付加重合して得られる混合物です。
付加する酸化エチレンの平均モル数によって数値が変わり、それに合わせて性質も変化します。
化粧品に配合される場合は、主に以下の用途で用いられます。
乳化
乳化とは、1つの液体にそれと溶けあわない別の液体を均一に分散させることを言います(3)。
イソステアリン酸PEG-60グリセリルにはこの作用があり、W/O型乳化を引き起こします。
W/O型乳化とは、油を外部層(界面活性剤の外側)とし、中に水が微細粒子状に分散する形で行われる乳化です。
逆に、水を外部層(界面活性剤の外側)とし、中に油が微細粒子状に分散する形で行われる乳化をO/W型乳化と呼びます。
界面活性剤は分子中に親水基と親油基をもっているので両者のバランスが重要になります。親水基と親油基の強さを評価する手段として一般的にHLB値が用いられています。
HLB値は、0~20の値を取り、0に近いほど親油性、20に近いほど親水性が高くなります。界面活性剤が水中に分散するためには3以上、溶解するためには10以上が必要で、HLB値は理論的なものではありませんが、HLB値によってその界面活性剤の性質や用途もある程度決定されます(3)。
イソステアリン酸PEG-60グリセリルのHLB値は16.0で、O/W型乳化剤(親水性界面活性剤)です。
この特徴から、イソステアリン酸PEG-60グリセリルは主に乳液、フェイスクリーム、アイクリーム、洗顔フォーム、ハンドクリーム、クリームファンデーション、リキッドアイライナー、マスクなどに使用されます。
イソステアリン酸PEG-60グリセリルは、医薬部外品原料規格2021に収載されており、一般的に安全性に問題がない成分と考えられています。
参考文献
- https://jp-surfactant.jp/surfactant/nature/index.html
- 田村 健夫, 他(1990)「乳化作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,270-273.
- 野々村 美宗(2015)「親水性・親油性バランス」化粧品 医薬部外品 医薬品のための界面化学,35-39.
イソステアリン酸PEG-60グリセリルの配合目的
- 乳化
- クレンジング系の洗浄基剤
イソステアリン酸PEG-60グリセリルの安全性情報
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
イソステアリン酸PEG-8グリセリルは皮膚刺激性がほとんどなく、イソステアリン酸PEG-60グリセリルは化学構造的にこれと類似しており、かつ一般的に酸化エチレンの付加モル数が増えるほど皮膚刺激性は低くなることが知られており、重大な皮膚刺激性および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
眼刺激性について
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。
日本語論文
田中 紅 , 稲葉 弥寿子 , 中川 真実子 [他] , 鈴木 加余子 , 松永 佳世子
Journal of environmental dermatology and cutaneous allergology = / the Japanese Society for Dermatoallergology and Contact Dermatitis 3(3), 163-169, 2009-07-31 医中誌Web 参考文献18件 被引用文献1件
英語論文
[No authors listed] Int J Toxicol. 2004.PMID: 15513825 Review.
Contact dermatitis from glyceryl di-isostearate.
Tanaka M, et al. Contact Dermatitis. 1993.PMID: 8365155 No abstract available.
Inui S, et al. Contact Dermatitis. 2009.PMID: 19338598 No abstract available.
Pennick G, et al. Int J Cosmet Sci. 2010.PMID: 20642769
Characterization of O/W Emulsions Prepared by PEG-Diisostearate Amphiphilic Random Copolymer.
Kaji M, et al. J Oleo Sci. 2017.PMID: 28924083 Free article.