イザヨイバラエキスとは

バラ科植物イザヨイバラ（学名：Rosa roxburghii）の果実からエタノール、BG（1,3-ブチレングリコール）で抽出して得られるエキスです。

特徴

イザヨイバラエキスは天然成分であることから、国・地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されます。

その成分組成は主に、

• ビタミンC
• タンニン
• 糖類

などで構成されています。

イザヨイバラは中国南西部を原産とし、花が常に一方だけ欠けていることから、十五夜の満月から少し欠けた月を意味する十六夜（イザヨイ）から名付けられています。

また果実には棘があり、梨のような色になることから「棘梨（トゲナシ）」とも呼ばれます。

イザヨイバラの果実は、ビタミンCが豊富でレモンの数十倍、アセロラの1.5倍以上のビタミンCを含んでおり、中国ではビタミンCの王様と呼ばれています。

用途

多くのバラ科植物は、世界のさまざまな地域でさまざまな病気の民間薬として伝統的に使用されてきました。

その中で、抗糖尿病薬、収斂剤、止血剤として使用される植物は、一般的にタンニンが豊富であり、これが有効な原理であると考えられています。

タンニンとは、植物界に広く存在するポリフェノールの一種で、収れん作用を持ち、口に入れると強い渋みを感じることが特徴です。

肌につけることで、毛穴を引き締める効果を持つため、化粧品などに配合されています。

また、抗酸化力を持つことから、動脈硬化を防ぎ、生活習慣病予防にも効果を発揮します。

この果物は、ビタミンCが豊富に含まれているため、中国で健康的な飲み物を作るためにも広く使用されています。

イザヨイバラは、漢方薬ではCiLiとも呼ばれ、フルーツジュースがさまざまな病気の薬として使用されてきた植物です。

CiLiはビタミンCとビタミンEが豊富で、スーパーオキシドジスムターゼ、ポリサッカライド、roxburic acid、roxburic glycoside、カテキンなどの生物学的に活性な成分を含んでいます(1)。

イザヨイバラは、アンチエイジング、フリーラジカル消去、免疫調節、ストレス耐性など、心血管、胃腸、泌尿器、生殖機能に有益な特性を持っていることが示されています(2)(3)(4)(5)。

イザヨイバラのジュースは、in vitroでエールリッヒ腹水腫瘍異種移植片およびヒト白血病K562細胞の増殖を阻害することが示されています(6)(7)。

臨床調査により、CiLi混合物は、ベンジジン曝露集団における膀胱癌の発生率を低下させ、術後腫瘍の再発を防ぐことができることが示されました(8)。

CiLiジュースは、マウスのプロニトロソジメチルアミン誘発肝細胞癌に対して有効です(9)。

最近の研究では、チリエタノール抽出物がin vitroで胃癌細胞の増殖を阻害したことも示されています(10)(11)。

そこで、イザヨイバラのエタノール抽出物とトリテルペン（CiLiトリテルペン）がヒト肝細胞腫SMMC-7721細胞および臍帯血CD34+造血前駆細胞の増殖と分化に及ぼす影響に関する報告がかつてありました(12)。

チリトリテルペンおよびエタノール抽出物は、濃度および時間依存的に肝細胞癌細胞の増殖を阻害し、肝細胞癌細胞からのα-フェトプロテインの放出を減少させました。

アポトーシスは、エタノール抽出物肝癌細胞の最高用量でのみ増加しました。

イザヨイバラのCiLiトリテルペンおよびエタノール抽出物は、臍帯血CD34 +細胞の顆粒球および単球への分化に影響を与えませんでした。

したがって、イザヨイバラのCiliトリテルペンおよびエタノール抽出物は、CD34 +細胞の分化に影響を与えることなく、ヒト肝細胞腫SMMC-7721細胞の増殖を阻害するのに効果的です。

イザヨイバラエキスはスキンケア化粧品、日焼け止め製品、メイクアップ製品、口紅およびリップ製品などに使用されます(1,3,4,5)。

参考文献

(1)An, H. M., Chen, L. G., Fan, W. G. and Liu, Q. L. (2005) Relationship between ascorbic acid accumu lation and related enzyme activities in fruit of Rosa roxburghii Tratt. Acta. Physiol. And Mol. Physiol. Plant, 31, 431-316.

(2)Sun, X. H., Ye, J. Q. and Xie, B. Z. (1991) Pharma cological study of fruit juice and extract of Rosa rox burghii Tratt. J. Guiyang Tradit. Chin. Med. Coll., 13, 60-64.

(3)Ma, Y. X., Zhu, Y., Wang, C. F., Wang, Z. S., Chen, S. Y., Shen, M. H., Gan, J. M., Zhang, J. G., Gu, Q. and He, L. (1997) The aging retarding effect of 'Long-Life CiLi.' Mech. Ageing Dev., 96, 171-180.

(4)Zhang, C., Liu, X., Qiang, H., Li, K., Wang, J., Chen, D. and Zhuang, Y. (2001) Inhibitory effects of Rosa roxburghii tratt juice on in vitro oxida tive modification of low density lipoprotein and on the macrophage growth and cellular cholesteryl es ter accumulation induced by oxidized low density lipoprotein. Clin. Chim. Acta, 313, 37-43.

(5)Chen, D. X., Jiang, D., Zhang, Y. H. and Tian, L. (1991) Effects of polysaccharides of Rosa rox burghii tratt on the immunological function in ani mals. Acta Acad. Med. Zunyi., 14, 1–5.

(6)Wang, J. R. and Li, H. (1999) Inhibitory effect of CiLi juice on growth of solid Ehrlich ascites tumor. Chin. Public Health., 15, 143–146.

(7)Qiang, H. J., Zhang, C. N., Chen, G. Y. and Zhang, Y. Y. (2000) Effect of Rose roxburghii juice on the growth of human leukemia K562 cells. Chin. J. Clin. Oncol. Rehabil., 7, 32-34.

(8)Qin, Y. Q., You, X. J. and Zhao, H. (1997) Clini cal study of roxburic mixture on preventing of blad der carcinoma and postoperation relapse. J. Labour Med., 14, 222-223.

(9)Wu, L. F., He, G. and He, Z. F. (1987) Protected effect of roxburic juice on hepatocellular carcinoma induced by pro-nitroso dimethyl amine. J. Guiyang Coll. Agr., 25, 25-27.

(10)Dai, Z. K., Yu, L. M., Yang, X. S., Shi, J. S. and Wen, G. R. (2005) Inhibitive effect of CL an extract of Rosa roxburghii tratt on growth of gastric carci noma cell lines. Guizhou Med. J., 29, 786-789.

(11)Dai, Z. K., Yu, L. M., Yang, X. S., Shi, J. S., Wu, Q. and Huang, X. N. (2005) Proliferation inhibition ef fects of CL-1, a monomer of Rosa roxburghii Tratt, on gastro carcinoma cells in vitro. Acta Acad. Med. Zunyi., 27, 6–9.

(12)Effects of Rosa roxburghii Extract on Proliferation and Differentiation in Human Hepatoma SMMC-7721 Cells and CD34+ Haematopoietic Cells.

Li Mei Yu,,a,b,c Ning Fang, Xiao Sheng Yang, Jin Wei Liu, Jia Yun Liu,Hong Ling Liu, Qi Xin Zhou, and Dai Xiong Chen(2006)

イザヨイバラエキスの配合目的

• DAMPs活性阻害による抗炎症作用
• セラミド合成促進による保湿・バリア改善作用
• 黄色ブドウ球菌、緑濃菌、大腸菌、カンジダおよび黒コウジカビ発育抑制による抗菌作用

イザヨイバラエキスの安全性情報

皮膚刺激性および皮膚感作性（アレルギー性）について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性（アレルギー性）はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

ミドルエイジからのUVケアとイザヨイバラエキス (特集 化粧ケア・アクティブシニアのスキンケア)

高山 悟 , 伴野 規博 Fragrance journal : Research & development for cosmetics, toiletries & allied industries = フレグランスジャーナル : 香粧品科学研究開発専門誌 45(8), 45-49, 2017-08 医中誌Web

ベニバナとイザヨイバラエキスの抗菌作用と相乗効果

吉川 麻美 , 折笠 紗代 フレグランスジャーナル 37(2), 81-84, 2009-02 医中誌Web

Anthraquinones from Polygonumcuspidatum as tyrosinase inhibitors for dermal use.

Leu YL, et al. Phytother Res. 2008.PMID: 18338768