表示名称成分詳細
アルギニン
成分番号(JP number): 550580
- INCI
- ARGININE
- 定義(Description)
- 本品は、次の化学式で表されるアミノ酸である。L-Arginine
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 精氨酸
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 11.45, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 5.8
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 알지닌
- CAS No.
- 74-79-3 / 7200-25-1
- EC No.
- 200-811-1 / 230-571-3
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
アルギニン / ARGININE
アスパラギン酸の化学的性質
アルギニン(C6H14N4O2)は多くのタンパク質の成成分であり、アミノ基(-NH2)とカルボキシ基(-COOH)および側鎖のグアニジド基(NHC(=NH)NH2)を持つ白色のα-アミノ酸です。グリシンを除く他のα-アミノ酸同様、キラル中心が存在するため、一対の鏡像異性体であるL-アルギニンとD-アルギニンが存在します。ただし、通常、タンパク質由来の天然由来のアルギニンはL-アルギニンのみです(一部例外もあります)。
また、アルギニンは塩基性基と酸性基の両方を持つ双性イオン化合物であり、水溶液の中でその遊離状態が変わります。全体での電荷0となる等電点は10.76です。pH10.76より低い溶液中では全体では正の電荷を帯びます。一方、pH10.76より高い溶液中では全体では負の電荷になります。
アルギニンは健康な成人にとっては体内で合成をすることができる非必須アミノ酸でありますが、乳幼児や子供、大人であっても病気や怪我・老化などで体力を著しく消耗している場合には十分に合成ができない場合があります(1)(5)。
アルギニンの効果
現在、アルギニンには
・疲労回復
・成長ホルモン合成の促成
・免疫力向上
などの効果があるとされています(1)。
アルギニンの効果
化粧品へはアルギニンが角層が水分を保持するのを助ける働きを期待して添加されています。
角質の水分保持の働きをする天然保湿因子のうち、アルギニンは約4%を占めています。
アルギニンは水溶性アミノ酸で皮膚透過性を持ち、緩やかで持続性のある保湿剤として期待されています。特に酸性下で皮膚透過性が強くなります。
皮膚が健全な人に比べ、皮膚炎や肌荒れなどの症状を持つ肌が弱った人ほどアルギニンは吸収されやすいため、その保湿効果も期待できます。
また、アルギニンは毛髪集副作用も期待されています。
パサつき傷ついた毛髪からはアルギニンを含む毛髪細胞複合多を構成する成分が流出してしまっているので、それを補うことで髪のパサつきを抑えられるとされています(1)。
その他
化粧品や医薬品の原料として用いられるにあたり、アルギニンは『日本薬局方』や『医薬部外品原料規格2021』・『食品添加物の既存添加物リスト』に掲載されています(2)(3)(4)。
・『日本薬局方』(L-アルギニン)
・『医薬部外品原料規格2021』**(**L-アルギニン)
・『食品添加物の既存添加物リスト』(L-アルギニン)
これまで、アルギニンは化粧品の原料として50年以上使用されている実績があります。目への刺激がある可能性がありますが現在の方法・濃度での使用であれば、人体に安全であるとしています(1)。
現在、アルギニンは安全で有用な化粧品・医薬品の原料として用いられているといえます。
参考文献
- 化粧品成分ジャーナル『化粧品成分オンライン』https://www.notion.so/e73f1f3504ea4009b2344d527062bd72#89c1eb52b0ff4eb4877e954076e23616
- 厚生労働省『第十八改正日本薬局方』「日本薬局方」ホームページ|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
- 厚生労働省『医薬部外品原料規格2021』000240227.pdf (pmda.go.jp)
- 一般社団法人 日本食品添加物協会『食品添加物の既存添加物リスト』食品添加物一覧 | 日本食品添加物協会 (jafaa.or.jp)
- P.W.グランドウォーター・G.A.テイラー 著 安藤喬志・木村隆英・中澤知男 訳『バイオサイエンス 有機化学』
アルギニンの配合目的
- 角層の水分保持(1)
- pH調整(1)
- けん化(1)
- 毛髪修復(1)
参考文献
- 化粧品成分ジャーナル『化粧品成分オンライン』https://www.notion.so/e73f1f3504ea4009b2344d527062bd72#89c1eb52b0ff4eb4877e954076e23616
アルギニンの安全性情報
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS607.pdf
日本語論文
抗酸化作用を有したサプリメントの摂取が身体的疲労度及びスポーツパフォーマンスに与える影響
須藤 明治 , 山田 健二 , 矢澤 一良 日本補完代替医療学会誌 16(1), 21-26, 2019 J-STAGE 医中誌Web
ロングラスティング保湿効果を持つ「グリセリル化アルギニン」の開発 (特集 肌の保湿と製品開発)
小林 恵理子 Fragrance journal 41(12), 50-56, 2013-12 医中誌Web
皮膚乾燥性疾患に対する低刺激性スキンケア剤の安全性および有用性の検討
古賀 哲也 , 中原 剛士 , 古江 増隆 [他] , 阿部 淑子 , 松中 浩 , 利谷 昭人 西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology 66(6), 615-620, 2004-12-01 J-STAGE 医中誌Web 参考文献8件
清酒醸造にわける市販糖化酵素剤の利用について (第3報):酒母試醸と遊離アミノ酸の消長
飯田 俊彦 [他] , 小栗 勇 , 山本 一郎 , 小林 巖 , 今井 謹也 日本釀造協會雜誌 66(11), 1065-1068, 1971 J-STAGE
水溶性アルギニン誘導体がもたらす毛髪処理剤としての効果 : 新しい化粧品原料 (特集 化粧品原料2021)
山本 義昭 油脂 74(8), 56-61, 2021-08
森部 利江 , 青野 恵 , 由木 大 , 廣島 俊輔 , 柿澤 恭史 , 小出 操 日本化粧品技術者会誌 50(2), 98-103, 2016 J-STAGE
直鎖型モノアルキルリン酸エステルの特異な会合挙動と化粧品への応用
田中 佳祐 , 鎌戸 伸一郎 , 李 金華 [他] , 橋本 悟 , 鈴木 敏幸 日本化粧品技術者会誌 49(1), 16-21, 2015 J-STAGE
ダメージ毛のツヤ改善効果を有するアルギニン誘導体の開発 (特集 化粧品の新原料の開発動向を探る)
脇田 和晃 , 眞谷 智子 Fragrance journal 40(4), 68-70, 2012-04
英語論文
Enterobacter gergoviae adaptation to preservatives commonly used in cosmetic industry.
Périamé M, et al. Int J Cosmet Sci. 2014.PMID: 24828151
Tolerability and cosmeticacceptability of a body wash in atopic dermatitis-prone subjects.
Brandt S, et al. J Drugs Dermatol. 2014.PMID: 25226012 Clinical Trial.
Harvey D, et al. Aesthetic Plast Surg. 2018.PMID: 29067471
Amino acid complex (AAComplex) benefits in cosmetic products: In vitro and in vivo clinical studies.
Diaz I, et al. J Cosmet Dermatol. 2021.PMID: 34694692
Schoelermann AM, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2016. PMID: 26805418
Benaiges A, et al. Int J Cosmet Sci. 2001.PMID: 18498464