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アラビアゴムとは

アラビアゴムは、化学構造的にアラビア酸のカルシウム、マグネシウム、カリウムの混合塩を主成分とする、複合多糖であり、植物系水溶性高分子です。

アラビアゴムは化粧品成分名称、医薬部外品表示名称に定められています。

アラビアゴムの原料となる植物はマメ科植物のアラビアゴムノキですが、厳密には2類存在し、マメ科のAcacia senegal（L.）Willd.（セネガル種）とAcacia seyal Delile（セヤル種）となっています(1)。アラビアゴムノキから採取される樹液を乾燥し、得られる樹脂がアラビアゴムです。

アラビアゴムノキは、セネガル種、セヤル種ともにサハラ以南のアフリカの中でも北緯12~16度の地域-「ガムベルト」と呼ばれる地域に主にみられます(1)。

アラビアゴムの成分として特徴的なアラビア酸は、L-アラビノース、D-ガラクトース、L-ラムノース、D-グルクロン酸を約3：3：1：1の比率で配合されている複合多糖であり、大部分はMg塩として存在します(2)。

アラビアゴムは化粧品成分以外にも食品添加物、医薬品添加剤としても幅広くし使用されています。

食品添加物の使用目的としては、菓子類の砂糖の再結晶防止、チョコレート菓子のフィルム形成、増粘作用による食感改良などに使用されています(1)(3)。

また、医薬品添加剤としては、古くはローマ医学から存在する丸薬に、主薬と一緒に糖とアラビアゴムを配合し成形されていました。現在でも、経口剤、筋肉注射、外用剤、歯科外用剤および口中用剤などに添加されています(7)。

化粧成分としては、増粘作用、乳化安定化、皮膜形成作用を目的に配合されています。

化粧品としては、メイクアップ化粧品、化粧下地製品、スキンケア化粧品、洗顔料、クレンジング製品、デオドラント製品、まつ毛美容液、シャンプー製品、コンディショナー製品など幅広く使用されています。

増粘

アラビアゴムは、水に溶かすと粘性のあるとろみを与えることができるため、増粘作用、感触改良などの目的で配合されます(5)。

乳化安定化

アラビアゴムは化学構造敵に疎水性ペプチドが結合しており、疎水性ペプチドを油脂中にし、親水性の糖部分を水中に向けることで強い乳化作用をしめします(3)(4)。

酸性下でも乳化に影響を受けにくいことから、乳化または乳化安定目的で植物油脂や油性植物エキスなどに使用されています(4)。

皮膜形成

アラビアゴムは完全に乾くとフィルム状の皮膜を形成し、お湯で容易に落とせます(5)。

お湯で容易に落とせることから、お湯で落とせるマスカラの皮膜形成剤として使用されています。この皮膜形成作用は付着性にも関与しており、肌への付着性を高めることも期待できます(5)。

安全性

アラビアゴムは40年以上の使用実績があり、食品添加物など様々な指定を受けています。

下記指定されているリストです。

食品添加物指定添加物リスト
日本薬局方
医薬部外品原料規格

使用実績の期間から、一般的な使用であれば安全性は高いとされています。

皮膚刺激性に関しては刺激性を確認したデータは見当たりません。ですが、40年の使用実績からは多くの製品に使用されており、一般的な化粧品の使用では問題ないと言われています。

眼科刺激性に関してもデータは見当たりません。

皮膚感作性に関しては、ほとんどアレルギーがないと検証の結果が出ています(6)。

参考文献

BFPRO（途上国森林ビジネスデータベース）「アラビアゴム」〈https://jifpro.or.jp/bfpro/sanpin/sanpin-03/1556/　2021年11月22日アクセス〉
資源天然物化学. (2017). 日本: 共立出版.100
井戸隆雄・片山豪（2011）「アラビアゴムの特性とその利用」応用糖質科学：日本応用糖質科学会誌(1)3),244-246. DOI:10.5458/bag.1.3_244.
鈴木一成（2012）「アラビアゴム」化粧品成分用語事典2012,592.
宇山侊男, 他（2020）「アラビアゴム」化粧品成分ガイド第7版,233.
W. Johnson（2005）「Final Report of the Safety Assessment of Acacia Catechu Gum, Acacia Concinna Fruit Extract, Acacia Dealbata Leaf Extract, Acacia Dealbata Leaf Wax, Acacia Decurrens Extract, Acacia Farnesiana Extract, Acacia Farnesiana Flower Wax, Acacia Farnesiana Gum, Acacia Senegal Extract, Acacia Senegal Gum, and Acacia Senegal Gum Extract」International Journal of Toxicology(24)(3_suppl),75-118. DOI:10.1080/10915810500257170.
オーラルケアのためのアロマサイエンス : 口腔内の健康に活かされる香り. (2007). (n.p.): フレグランスジャーナル社.p29-30