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アボカド油とは

アボカド油はクスノキ科植物アボカド(学名: Persea americana)の果肉から得られる植物油です。アボカドは日本名でワニナシとも呼ばれています。「森のバター」とも呼ばれるアボカドはとても栄養価の高い果物で、果肉の15-20%は脂肪分です。中央アメリカ原産で、南北アメリカでは何千年も昔から主に食用として栽培されてきました(1)。

アボカド油はアボカドの果肉から抽出されますが、果肉には脂質以外に水分も多く含んでいるため、抽出には複雑な工程が必要となります。一例として、スライスした果肉を乾燥させ、粉砕したものを圧搾する方法があります。化粧品に使用する場合、圧搾により抽出したオイルに精製、漂白などの処理を施すことで純度の高いオイルを得ることができます(1)。

アボカド油に含まれる脂肪酸組成はアボカドの栽培されている地域や品種、果物の熟度、抽出方法等によっても異なりますが、主に下記の脂肪酸が含まれています(2)。

オレイン酸　67-72%
パルミチン酸　13-17%
リノール酸　10-12%
パルミトレイン酸　3-5.1%

上記以外にもリノレン酸、ステアリン酸も微量(1%未満)ですが含まれています(1)。一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸の含有率が高く、良質なオイルと言えます。

また、アボカド油には高い抗酸化作用を持つトコフェロールなどのビタミンEやβ-カロテンなどのビタミンAが豊富に含まれています。また、シトステロールなどの植物ステロールやポリフェノールなども含まれており、その美容効果の高さが注目されています(1)。

化粧品に使用できるさまざまな植物オイルの中でもアボカド油は最も浸透性が高いオイルの一つです。高いコンディショニング効果を有しているため、各種クリームやマッサージオイルなど、特に滑らかさや浸透性が必要となる製品に適しています。また、表面張力を低下させ、より微細なエマルジョンを形成する作用もあります(1)。

Cosmetic Ingredient Reviewでは、さまざまな安全試験データから一般的に化粧品として使用されている範囲内でのアボカド油の安全性が結論づけられています(2)。

アメリカ食品医薬品局(FDA)が実施する化粧品自主登録プログラム(VCRP)によると、2010年時点でアボカド油を配合している製品の登録数は合計883で、主にスキンケア、ボディケア製品やヘアケア製品が占めています。そのうちリーブオン製品は657製品、リンスオフ製品は226製品でした(2)。製品への含有量についてパーソナルケア製品評議会が実施した調査によると、アボカド油はリーブオン製品で0.0005%から98%、リンスオフ製品で0.0001%から15%の濃度で使用されていました(2)。

日本語名：アボカド油、アボカドオイル英語名：Persea gratissima (avocado) oil、Avocado oil

参考文献

(1) Allan Woolf (2009) 「2 - Avocado Oil」Gourmet and Health-Promoting Specialty Oils 73-125

(2) Cosmetic Ingredient Review (2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology 36 (Suppl. 3), 51S-129S