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表示名称成分詳細

PEG-10水添ヒマシ油

成分番号(JP number): 550203

INCI
PEG-10 HYDROGENATED CASTOR OIL
定義(Description)
本品は、水添ヒマシ油(*)のポリエチレングリコールエーテルであり、酸化エチレンの平均付加モル数は10である。Castor oil (Ricinus communis), hydrogenated, ethoxylated (10 mol EO average molar ratio)
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
PEG-10 氢化蓖麻油
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 12, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 2.5
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
피이지-10하이드로제네이티드캐스터오일
CAS No.
61788-85-0
EC No.
-
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

-

原料情報

PEG-10水添ヒマシ油 / PEG-10 HYDROGENATED CASTOR OIL

PEG-10水添ヒマシ油とは

PEG-10水添ヒマシ油は、界面活性剤の一種です。

界面活性剤は、本来であれば混ざり合わない水と油を混ざり合わせる効果を持ちます。

その中でも、酸化エチレン縮合型のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油に分類される非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)です。

PEG-10水添ヒマシ油は、水添ヒマシ油から得られる成分に酸化エチレンを約10モル付加重合して得られる混合物です。

付加する酸化エチレンの平均モル数によって数値が変わり、それに合わせて性質も変化します。

化粧品に配合される場合は、主に以下の用途で用いられます。

乳化

乳化とは、1つの液体にそれと溶けあわない別の液体を均一に分散させることを言います(3)。

PEG-10水添ヒマシ油にはこの作用があり、W/O型乳化を引き起こします。

W/O型乳化とは、油を外部層(界面活性剤の外側)とし、中に水が微細粒子状に分散する形で行われる乳化です。

逆に、水を外部層(界面活性剤の外側)とし、中に油が微細粒子状に分散する形で行われる乳化をO/W型乳化と呼びます。

界面活性剤は分子中に親水基と親油基をもっているので両者のバランスが重要になります。親水基と親油基の強さを評価する手段として一般的にHLB値が用いられています。

HLB値は、0~20の値を取り、0に近いほど親油性、20に近いほど親水性が高くなります。界面活性剤が水中に分散するためには3以上、溶解するためには10以上が必要で、HLB値は理論的なものではありませんが、HLB値によってその界面活性剤の性質や用途もある程度決定されます(4)。

PEG-10水添ヒマシ油のHLB値は6,5、7.0で、W/O乳化剤(親油性界面活性剤)です。

このような作用で、スキンケア化粧品や日焼け止め製品、クレンジング製品などに使用されます。

分散

粉体を水に入れた場合、それだけでは混ざり合わずに、表面に浮かんだままの状態になります。

この粉体を取り込み、水中に散らばらせる作用を分散と言います。

この作用により、顔料などを分散させる目的で日焼け止め製品、化粧下地などに利用されます。

PEG-10水添ヒマシ油は、医薬部外品原料規格2021に収載されており、一般的に安全性に問題がない成分と考えられています。

参考文献

  1. https://jp-surfactant.jp/surfactant/nature/index.html

(3)田村 健夫, 他(1990)「乳化作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,270-273.

(4)野々村 美宗(2015)「親水性・親油性バランス」化粧品 医薬部外品 医薬品のための界面化学,35-39.

PEG-10水添ヒマシ油の配合目的

  • 乳化
  • 分散

PEG-10水添ヒマシ油の安全性情報

https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS622.pdf

日本語論文

溶媒特性を利用したヘアマニュキュア用新規リムーバーの開発

鎌田 勉 , 石川 洋子 , 岩崎 信博 日本化粧品技術者会誌 37(3), 213-217, 2003 J-STAGE

生体適合性界面活性剤系におけるW/O型マイクロエマルションの形成

田岡 英実 , 小川 悦子 , 高橋 正雄 [他] , 國枝 博信 日本油化学会誌 = Journal of Japan Oil Chemists' Society 46(12), 1475-1479, 1997-12-01 J-STAGE  参考文献16件

金コロイドの化粧品への応用

荻野 和男 , 大田 昌勝 , 松井 順一 日本化粧品技術者会誌 31(2), 158-166, 1997 J-STAGE

ポリ(オキシエチレン)硬化ヒマシ油を用いたSPG膜乳化法によるO/W型エマルションの生成

坂 貞徳 , 北原 路郎 , 山崎 詳仁

日本化学会誌(化学と工業化学) 1994(8), 737-742, 1994J-STAGE

ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の酸化分解に関する研究

西川 三喜男 , 藤井 喜一郎 臨床薬理 23(1), 345-346, 1992-03-31 機関リポジトリ

ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の酸化分解に関する研究 薬物の分解促進とヒスタミン遊離作用:薬物の分解促進とヒスタミン遊離作用

西川 三喜男 , 藤井 喜一郎 臨床薬理 23(1), 345-346, 1992 J-STAGE  医中誌Web

ポリ(オキシエチレン)硬化ヒマシ油のミセル形成及びミセル構造 斎藤 好廣 , 佐藤 孝俊 藥學雜誌 112(10), 763-767, 1992 J-STAGE

多疎水鎖型非イオン界面活性剤の水への溶存状態

塘 久夫 日本化学会誌(化学と工業化学) 1981(11), 1691-1696, 1981 J-STAGE

英語論文

なし