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表示名称成分詳細

PCA-Na

成分番号(JP number): 550148

INCI
SODIUM PCA
定義(Description)
本品は、ピロリドンカルボン酸(PCA(*))のナトリウム塩であり、次の化学式で表される。Sodium 5-oxo-2-pyrrolidinecarboxylate
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
PCA 钠
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 20
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
소듐피씨에이
CAS No.
28874-51-3
EC No.
249-277-1
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

-

原料情報

PCA-Na

PCA-Na / SODIUM PCA

PCA-Naとは

PCA-Naとはピロリドンカルボン酸のナトリウム塩です。ピロリドンカルボン酸は角層の中に含まれている有機酸と呼ばれる成分群の1つでもあります(1)。

アミノ酸の1種であるグルタミン酸の脱水反応によって得られます。性質としては、白色の結晶または結晶性の粉末で、無臭、水によく溶けます(1), (2)。

自然界では大豆、糖蜜、野菜類などの植物にPCA-Naは含まれています。

化粧品以外にもPCA-Naは医薬品にも使用されていて、「dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液《dl-ピロリドンカルボン酸Na》」という全成分記載名称になります。用途は湿潤剤、湿潤調整剤であり、化粧品と用途は同じです(3)。

PCA-Naは、角層に浸透して強力な保湿効果を持っているので、乾燥から皮膚を守る化粧水、乳液、美容液などのスキンケア化粧品に使われています。

また、化粧品以外にも毛髪に対しても保湿効果を有しており、保湿効果や柔軟効果を与えるためヘアケア製品にも配合されることがあります。他の保湿成分との組み合わせで相乗的な保湿効果が高まるため効果的な処方研究がされていることも報告されています(1)。

PCA-Naは皮膚の水分を保持する働きを持っている天然保湿因子(natural moisturizing factor:NMF)の成分の中の1つでもあります。天然保湿因子は皮膚の保湿作用を担っていることから、大事な作用として知られています。

皮膚や毛髪への保湿作用の他にも、PCA-Naは毛髪のきしみ改善効果として、市販品のシャンプー (主剤:ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン)に添加し、その時のきしみ感を官能評価と機器評価より比較した試験が報告されています。

PCA-Naを展開していないシャンプーと比較して、すすぎ時のきしみ感が改善されることが明らかとなっています。すすぎ時のきしみ感を改善するということは、毛髪の洗浄―すすぎ工程を行う際、毛髪に対する指の引っ掛かりを減少させるという一時的な官能の向上を図るだけでなく、毛髪間の摩擦力を少なくすることで毛髪の損傷を抑制するという意味においても最も重要なことであると考えられています(4)。

また、一部の人においてPCA-Naを高濃度で皮膚に塗布した場合に一過性の赤みが生じることが報告されています。しかし、この赤みは炎症ではなく、血流促進効果であることもわかっています。この赤みは塗布2時間以内に消失することも今では明らかになっています(5)。

血流促進効果のメカニズムは一酸化窒素(NO)の産生促進効果があることが明らかになっていますが、このメカニズムは血流量を調整する一般的なメカニズムとして知られています(5)。

また、化粧品以外にも毛髪に対しても保湿効果があるので保湿柔軟効果を与えるためヘアケア製品にも配合されます。他の保湿成分との組み合わせで相乗的な保湿効果が高まるため効果的な処方研究がされています。

きしみ改善効果として、市販品のシャンプー (主剤:ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン)に、PCA-Naを添加し、その時のきしみ感を官能評価と機器評価より比較したところ、PCA-Naを展開していないシャンプーと比較して、すすぎ時のきしみ感が改善されることが明らかとなった。すすぎ時のきしみ感を改善するということは、毛髪の洗浄―すすぎ工程を行う際、毛髪に対する指の引っ掛かりを減少させるという、一時的な官能の向上を図るだけでなく、毛髪間の摩擦力を少なくし、毛髪の損傷を抑制するという意味において最も重要なことであると考えられます。

PCA-Naの配合目的

  • 肌や毛髪の保湿作用
  • 毛髪のきしみ改善作用
  • 血行促進作用

参考文献

(1) 化粧品成分ガイド 第7版 フレグランスジャーナル社

(2) 化粧品成分用語事典2012 中央書院

(3) 医薬品添加物事典2021 日本医薬品添加剤協会

(4) Soc. Cosmet. Chem. Japan. Vol. 29, No. 3, 227-233, 1995

(5) J. Soc. Cosmet. Chem. Japan Vol. 37, No. 4, 287-292 2003

PCA-Naの安全性情報

https://www.cir-safety.org/sites/default/files/pca.pdf

日本語論文

発酵プラセンタの美容食品としての機能 (特集 内外美容への新たなアプローチ)

三井 幸雄

Fragrance journal 42(1), 56-60, 2014-01医中誌Web

ピロリドンカルボン酸ソーダによるビオプラーゼの安定化とレンズ洗浄剤としての応用辻 明彦 , 窪野 慎一 , 佐々木 由香 , 松田 佳子 , 中山 久幸 , 寺山 日出男 日本コンタクトレンズ学会誌 38(4), 232-236, 1996-12-28 医中誌Web

PCA‐Naの毛髪のすすぎ時のきしみ感改善効果松沢 幸代 , 三上 直子 日本化粧品技術者会誌 29(3), 227-233, 1995 J-STAGE

ヒアルロン酸ナトリウムの保湿性外岡 憲明 皮膚 27(2), 296-302, 1985 J-STAGE

天然保湿成分であるL‐ピロリドンカルボン酸(L‐PCA)のNO産生調節による血流促進効果小笠原 和子 , 瀧野 嘉延 , 北澤 学 , 坂本 一民 , 岡野 由利 , 正木 仁 , 安井 裕之 , 桜井 弘

日本化粧品技術者会誌 37(4), 287-292, 2003J-STAGE

アトピー性皮膚炎への0.7%キトサンピロリドンカルボン酸(PCA)塩クリームの外用効果(ポスターワークショップ2 アトピー性皮膚炎の最新治療)

松下 佳代 , 伊藤 泰介 , 古川 福実 , 瀧川 雅浩 アレルギー 47(2-3), 224, 1998 J-STAGE  医中誌Web

ピロリドンカルボン酸配合歯磨剤による象牙質の脱灰抑制効果・コラーゲン分解抑制効果の検討

石井 志織 , 今﨑 麻里 , 石動 更 , 藤川 晴彦 , 福田 康 , 西永 英司 日本歯科保存学雑誌 62(6), 286-295, 2019 J-STAGE

英語論文

Bacterial assembly during the initial adhesion phase in wastewater treatment biofilms. Liu Q, Wang J, He R, Hu H, Wu B, Ren H. Water Res. 2020 Oct 1;184:116147. doi: 10.1016/j.watres.2020.116147. Epub 2020 Jul 7.

A novel label-free electrochemical immunosensor for ultra-sensitively detecting prostate specific antigen based on the enhanced catalytic currents of oxygen reduction catalyzed by core-shell Au@Pt nanocrystals. Wang R, Wang AJ, Liu WD, Yuan PX, Xue Y, Luo X, Feng JJ. Biosens Bioelectron. 2018 Apr 15;102:276-281. doi: 10.1016/j.bios.2017.11.041. Epub 2017 Nov 11.

Facile synthesis of prickly platinum-palladium core-shell nanocrystals and their boosted electrocatalytic activity towards polyhydric alcohols oxidation and hydrogen evolution. Li DN, He YM, Feng JJ, Zhang QL, Zhang L, Wu L, Wang AJ. J Colloid Interface Sci. 2018 Apr 15;516:476-483. doi: 10.1016/j.jcis.2018.01.060. Epub 2018 Jan 31.

Epithelial Na, K-ATPase expression is down-regulated in canine prostate cancer; a possible consequence of metabolic transformation in the process of prostate malignancy. Mobasheri A, Fox R, Evans I, Cullingham F, Martín-Vasallo P, Foster CS. Cancer Cell Int. 2003 Jun 13;3(1):8. doi: 10.1186/1475-2867-3-8.

Direct or indirect skin lipid-ordering effect of pyrrolidone carboxylate sodium after topical treatment with penetration enhancers. Lin SY, Duan KJ, Lin TC. Biomed Mater Eng. 1995;5(1):9-20.