表示名称成分詳細
DPG
成分番号(JP number): 550133
- INCI
- DIPROPYLENE GLYCOL
- 定義(Description)
- 本品は、次の化学式で表される二価アルコールである。1,1'-Oxydipropan-2-ol; Oxydipropan-2-ol; Hydroxypropyloxypropanol
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 双丙甘醇
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 89.4
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 다이프로필렌글라이콜
- CAS No.
- 110-98-5 / 25265-71-8
- EC No.
- 203-821-4 / 246-770-3
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
DPG / DIPROPYLENE GLYCOL
DPG(ジプロピレングリコール)とは
DPG(ジプロピレングリコール)は、PG(プロピレングリコール)の脱水縮合2量体です。ヒドロキシ基(-OH)を2つ持っており、二価アルコールに分類されています。ヒドロキシ基を2つ以上持つ多価アルコールのグリセリン、ブチレングリコールの一種であり、化粧品分野では、保湿作用、防腐作用を期待して配合されています。
PGよりも皮膚刺激が低減されており、最近では使用量が増加傾向にあります。
使用される製品は幅広く、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、化粧下地製品、シート&マスク製品、日焼け止め製品、洗顔料、洗顔石鹸、クレンジング製品、シャンプー製品、コンディショナー製品、アウトバストリートメント製品、頭皮ケア製品、ボディソープ製品、ヘアカラー製品、整髪料、ネイル製品、香水などに使用されています。
医薬品添加剤として医薬品分野でも使用実績があり、外用剤、経皮に使用される薬剤の溶剤として添加されています。
保湿
多価アルコールは角質層への吸湿性、保水性、粘性の違いにより、テクスチャーの違いが生じてきます(1)。
DPGは、他の多価アルコールの中でも粘性が低く、肌への吸湿作用は中程度、保湿時間が短いという特徴から、さっぱりとしたテクスチャーとなっています。保湿時間を伸ばす観点から、皮膚表面を閉塞することで、水分蒸発抑制作用をもつエモリエント成分と一緒に配合することが多いようです。
保湿作用から角質層の水分含有量を上げ、角質層のひび割れを防ぎ、肌表面のバリア機能を維持する働きも期待できます。
保湿されていない角質は、水分量の低下、角質層のひび割れと状態が悪化してきます。角質層の悪化は、肌表面の状態悪化に直結します。皮膚表面の亀裂、落屑、鱗屑が起こり、肌荒、肌のバリア機能の低下を招くのです。DPGを塗布することで、角質層の水分量が保たれ、バリア機能の維持ができます。
防腐
DPGは、他の防腐剤に比べると、抗菌作用においては弱いという評価になっています(2)。
ですが、抗菌スペクトルとしては、濃度8~12%程度で、グラム陰性菌に対し特異的に抗菌活性を示すことが知られています。黄色ブドウ球菌、緑膿菌、大腸菌、カンジダ、コウジカビへ効果を発揮します。
抗菌作用以外にも、微生物に影響を与える作用として、水分活性を低下させる作用を持っています。水分活性の低下とは、水分子と結合する物質を添加することで、微生物が利用できる水分を低下させ、微生物増抑制作用、静菌作用を示すのです。
DPGの本来持っている抗菌作用と、水分活性の低下作用と合わせて、他の防腐剤であるパラベン、フェノキシエタノールの量を少なくすることが出来ます。
安全性においては40年の使用実績があり、PGの皮膚刺激が改善されている成分になります。
実際、皮膚刺激の実験においても「皮膚刺激がない」という結果になっており、安全に使用できる成分と考えられています(3)。
光毒性においても、実験結果から「光毒性はない」という結果が出ています。
参考文献
(1)平尾 哲二(2017)「保湿 温故知新」日本香粧品学会誌(41)(4),277-281. DOI:10.11469/koshohin.41.277.
(2)谷口 康将・野村 重雄(2012)「最小発育阻止濃度(MIC)を基準とした予測式からの化粧品の保存効力の予測」日本化粧品技術者会誌(46)(4),295-300. DOI:10.5107/sccj.46.295
(3)Cosmetic Ingredient Review(2015)「Safety Assessment of Alkyl Ethylhexanoates as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(34)(3_Suppl),61S-73S.
DPG(ジプロピレングリコール)の配合目的
- 角質層の一時的な水分量増加に伴う保湿、保水目的
- 抗菌作用、また水分活性を下げる作用により、微生物の増殖抑制作用、静菌作用による防腐目的
- DPG(ジプロピレングリコール)などの多価アルコールを配合量を増やすことで、他防腐剤の配合量減量目的
DPG(ジプロピレングリコール)の安全性情報
日本語論文
奈良県産スギ材およびヒノキ材の寸法安定化技術の検討(第1報)改良型グリオキザール樹脂による処理
矢杉 瑠美 , 愛須 未紀 , 有山 麻衣子 , 増田 勝則 , 伊藤 貴文
奈良県森林技術センター研究報告 (48), 27-35, 2019-04
非フタル酸エステル系可塑剤使用と表示されたポリ塩化ビニル製手袋中の未知化合物の同定
河村 葉子 , 六鹿 元雄 , 和久井 千世子 [他] , 米谷 民雄食品衛生学雑誌 43(4), 215-220, 2002-08-25
毛管ガスクロマトグラフィーによるC<SUB>5</SUB>~C<SUB>8</SUB>飽和炭化水素の分離,ならびに保持指標に関する考察:混合固定相によるガスクロマトグラフィーに関する研究(第15報)
三戸岡 憑之
分析化学 21(11), 1447-1456, 1972
塗料用合成樹脂の加熱変化の研究 (第4報):不飽和ポリエステル樹脂塗膜の熱分解
高岡 京 [他] , 三原 滋 , 三原 一幸
色材協会誌 44(5), 205-216, 1971
松井 裕 , 朝日 豊高
工業化学雑誌 70(7), 1212-1217, 1967
三原 一幸 [他] , 高岡 京 , 行田 干城
色材協会誌 35(4), 146-158, 1962
ガスクロマトグラフィーによる海産動物油脂肪酸エステルの定量分析
伊東 祐隆 , 福住 一雄
工業化学雑誌 65(12), 1963-1968, 1962
英語論文
Shah SI, et al. Toxicol In Vitro. 2020. PMID: 33010358
Iliopoulos F, et al. Int J Pharm X. 2019. PMID: 31517290 Free PMC article.
Fasano WJ, et al. Toxicol In Vitro. 2011. PMID: 21782927